セリフ
1ページ目
- 「誰?」
2ページ目
- 「自分のことわかんないの?」
- 「似とらんな。」
- 「そんなことないよちゃんと写真見て描いたから。」
- 「普段は何も見ないで描くけどね」
- 「23年前のだけど。」
3ページ目
- 「夫、仲良くなると描けなくなるってよくゆってた。」
- 「そうだよ?だから家内ちゃんの絵も結婚式の前の日に描いたあれしかない。」
- 20年間壁にかけっぱないだけど。
- 「じゃあなんで急に描こうと思ったの?」
- 「.............描こうと思ったから。」
- 「ふうん。」
4ページ目
- 「描こうと思ったから。」
- 「成城石井行ってくる。」
- 「あい。」
- そう思ったのは本当。
- でもそれは強烈に想像し、実感したから。
- いつか描きたくても描けなくなる日が必ず来るということを。
夫が写真を見ながら家内ちゃんの似顔絵を描く。家内ちゃんには似ていないと言われる。夫は仲良くなると絵が描けなくなるという会話の中で、なぜ急に描く気になったのか尋ねる家内ちゃんに対し、夫はただ「描こうと思ったから」とだけ返す。しかし、夫の内心には、いつか描きたくても描けなくなる日が必ず訪れるという未来を強烈に想像し、実感した切ない思いがあった。



