妻が夫を送り出す時に火打ち石をカチカチやる、あの儀式[鑽火]は
映画や戦争のフィルムでしか見たことがない。
ただ日常の儀式ではなく、神事としてであれば
豊作の祈祷だか何だかの時にカチカチやることはあった。
伊勢神宮があることと神事がさかんなことは関係あるだろうか。
みなさんも見たことがある、やったことがあるという経験がありましたら
教えていただけると僕がにっこりする。
そういう地域差のあるまじないや習慣はとても好き。
僕は僕用の火打ち石を持っていた。
宗教は関係ない。
家の土蔵に捨ててあったがらくたを、面白いから持っていただけだ。
今は「フクザツな家庭の子」を内情まで含めて
センセーショナルに知ることができる。
というか、もう知りすぎてお腹いっぱいだ。
むしろ「フツーの家庭」のが希少なのではとさえ思える。
だが当時は複雑な家庭を知ることはできなかった。
村木は僕が初めて触れた、複雑な家庭の子だった。
何もできないので何かを一生懸命しようとした。
勉強をがんばればよかったんだが、逃げた。
面白くなかったから。
何もできない何もできないと言い訳を繰り返しながら、
僕はただ火打ち石で魔を祓う。
愚かだが
否定するにはあまりに純粋だ。
冬虫夏草……。うごめ紀?
セリフ
1ページ目
- それは初めて見た「フクザツな家庭」だった。
- 「そんな娘うちにはおりません。」
- 効果音ガチャ
- 効果音ジャン
2ページ目
- 効果音ドッ
- 「私、受かるかな。」
- 「余裕だよ。」
3ページ目
- 「よっしゃ。」
- 効果音シュル
- 「じゃあ行く。」
- 大学からも自分からも逃げた僕は
- 火打ち石で君の魔を祓う。
- 効果音カチッ
- 効果音カチ
男性は電話で「そんな娘はいません」と断られ、複雑な思いを抱く。一方、村木はピアノを弾きながら大学受験に不安を感じつつも自信を持ち、「受かるかな」と問いかけると男性は「余裕だよ」と励ます。村木は決意を新たに制服に着替え大学へ行く準備をし、男性は火打ち石を打って彼女の背中を押し、自分も逃げていたことを反省する。火打ち石で彼女の魔を祓い、共に前へ進もうとする姿が描かれている。


