人が新しい場所を見つけた時、何をするか。
まあ変わらないよ。ずっと。
寄って集まってしゃべるだけだ。
対話ではない独り言に対して
特に語る言葉は持ち得ない。
セリフ
1ページ目
- インターネット黎明期、大学3年の僕は
- 知らない人が何時間も死にたいと言うのをただ聞いていた。
- 1997年
- 1997年のダイアローグ。
- 「もうだめなんです何したってだめ。」
- 何人も何人も聞いた。
- 特に言いたいことはなかった。
2ページ目
- 「ほんと そういうの 好きだねぇ。 優越感?」
- 効果音パソコン こえー
- 「杉ちゃんだって よく言うじゃん 死にたいとか 消えたいとか。」
- 「あたしは いいの!」
- 「ハセガワくん だってそゆ時 あるでしょ?」
- 「ある。けど、」
- 「僕のは嘘っぱち だもん。」
- 「「ヤなこと 消えて欲しい」の 「死にたい」だし。 ただの 退屈な 愚痴だよ。」
3ページ目
- 「んなこと言ったらあたしもそうだよ。なんも言えなくなるじゃん。」
- 「でも言いにくるじゃない、いつだって。」
- 「僕、杉ちゃんは好きだから大歓迎だよ。」
- 「あのさー。」
- 「あたしはレズだからいいけどそれ誰にでも言うのやめた方がいいよ?」
- 「大丈夫、「嫌い」って言う方が遥かに多い。」
4ページ目
- 「ねえ、杉ちゃんもおっぱい大きく描いた方が嬉しい?」
- 「どうでもいい。」
- 「何の話だっけ。」
- 「一緒に死ぬ?って話。」
- 「ちょっとは表情変えてよ。冗談に聞こえない。」
- 「愛想いいガキと愛想悪いオトナは嫌いだ。」
- 「あたしブッサイクだなー」
1997年、大学生の僕がインターネット黎明期のころ、知らない人たちが長時間「死にたい」と話しているのを聞いていた。友達の杉ちゃんと会話しながら、彼女が「死にたい」と言うのをただ聞き流した。僕は杉ちゃんのことが好きだが、愛想のいい男は嫌いだと言う彼女の前で冗談半分に描く絵について話す。どんな話だったか忘れる杉ちゃんに「一緒に死ぬ?」と尋ねるが、彼女は冗談とは思わず、絵の話題に戻る。



