間違いなく、この日記がなければ僕は
自分に都合の悪いことはすべて忘却し、
「あの頃はよかったなあ」と遠い目をするだけの大人に
なっていただろう。
もしくは陰キャがどう、陽キャがどうと、ねちょねちょ
どうでもいい定義にこだわる人間になっていたかもしれない。
そういう意味では、
くるくる変わる気分と憂鬱、
その反動のハイテンションと希望が
日毎に交錯する「30年前のありのままの自分」が
みしみしと詰め込まれた日記は、人からもらった手紙とあわせて
僕の唯一の財産であり、資産である。
ツイートやブログのようなweb日記は
僕は絶対に日記とは認めない。
どれだけ「これは備忘録」「これは独り言」と
主張しても僕は認めない。
それは君自身ではない。
セリフ
1ページ目
- 「こいつら全員シベリア送りになればええのに。」
- 「マローズ酷寒 マローズ酷寒」
- 効果音キャキャキャキャ
- トロピカルクラスメイトたち
- 平成2年
- 高校一年生、16歳のわたくしは常に校舎の裏でソルジェニーツィンを読みながら北斗の拳みたいな感想文を日記に書いていた。
- (現物)
- イワン・デニーソヴィチの一日 by アレクサンドル・ソルジェニーツィン すでに貴方は死んでいる。
2ページ目
- わずか半年後
- 「あ?」
- 乙女日記、開幕。
- 「「自分」なんぞこんな程度よ。いっくら勉強出来てもムダムダ。」
- 「じゅうまんえんいる現金でいる。」
- 「僕イヤな人。でも、 好かれたい。好き。」
- 「(現物)」
- 「花咲かせんな 気持ち悪い!」
- 効果音ホワ ホワ ホワ
高校1年の主人公は、冷ややかなクラスメイトに囲まれながらルソーの著作を読み、感想を日記に書いていた。数ヵ月後、彼は「自分なんてこの程度」と無力感に苛まれながらも、クラスメイトに好かれたいと願う。一方で、現金が手元にあることを確認する場面もあり、乙女日記は開幕する。

