僕はぬいぐるみに名前をつける方ではなかったし、 また目鼻がとれても割と平気というか、 布切れでも残っていればそれを愛せる人間でした。
ただし、目鼻のないイモムシのような布切れを 肌身離さずもっている僕を、 両親は相当おかしいと思っていたらしく、 親戚の医者に相談したことあるとも言っていた。
こう描くとセキグチととしえちゃんが 極悪な人間に見えるけれど、 そんなに怒っていたわけでもない。
むしろ漫画にはあまり描いてない、 近所の里芋みたいな男児たちが勝手にやってきて あらゆるものを盗んでいく、それが一番いやだった。
僕からだんだん物欲が減っていったのは そのような経験からだと思う。
マキタがたまたま休み時間に 「あれええなあ。ほしいわあ。一個しかないからすぐなくなるわ」 とオータニと話してて、 その瞬間に僕は学校を飛び出してジャスコで そのぬいぐるみを買ってきた。
もちろんマキタに喜んで欲しいと暴走したのも確かだが、 ピンと来たぬいぐるみはその時点で買わないと、 顔が違ってたりなんだったりで、二度と出会えないことを 僕はよく知っていたからだ。
セリフ
1ページ目
- 特にオオイケが80年代に出した「モーモー」が大変お気に入りであり。
- わたくしはメカやロボよりもぬいぐるみを愛する男児であり
- モーモーにあやとりを見せて遊んだりする時間が幸福であった。
- 逆さにし
- と鳴く。
- 戻すと
- 効果音モー
2ページ目
- 効果音バース
- 効果音バース
- 「よう よう」
- 「やめて」と言えないうちに
- やがてパーマンのコピー ロボットのようになり
- 片目がなくなり片耳がなくなり
- それでも「やめて」と言えず、
- 効果音モー
3ページ目
- 見かねた母が
- モーモーVer2を買ってくれたが
- 「モーモー2」
- 顔が微妙に違っており愛せず。
- 「なんか顔いじわるやねんこわい」
4ページ目
- 「あたしら極悪同盟か!」
- 「すまん一切覚えてへん。」
- 「でもその話聞いたら」
- 「アンタが突然授業飛び出してマキタにぬいぐるみ買ってきたん、なんやわかった気ィする。」
- 効果音どしたん
- 効果音ハァハァ
4ページマンガ。主人公は幼少期に「モーモー」というぬいぐるみを大切にしていたが、友人たちに投げ飛ばされるうちに壊れてしまった。母が「モーモーVer2」を買ってくれるが、微妙に違う顔に馴染めずに愛せない。高校生になった頃、その友人に話しをしたが覚えていなかった。でも友人は、なぜ主人公が自分の好きな子に、突然ぬいぐるみを買ってきたのかわかった気がする、と言った。



