音楽は持って生まれたものが大きい芸術です。
努力では越えられない領域というものがあり、
努力すればするほどさらにそれを思い知るという
哀しい世界です。
僕も本気で音楽をやってみようとしたことはありました。
でも村木に出会って、色々わかってしまいました。
僕の音楽はどんどんどんどん小さくなっていきました。
不思議と、ちっとも哀しくなかったのです。
僕は人前に出るのが嫌いです。
自分のためだけにする音楽が好きです。
そしてその自分のためだけの音楽を、
近くの人と小さく小さく、
でもとても深い部分で共有するのが
何より好きなのです。
村木はピアノ演奏に苦戦しながらも、一方で彼女を助ける男性はコーヒーを淹れつつ穏やかにアドバイスをする。男性は賞を取るような大きな音楽や人を感動させる音楽も素晴らしいが、自分が好きなのはもっと小さな、内向的で個人的な音楽だと語る。村木はその言葉に驚きつつも耳を傾け、彼との静かな交流が描かれている。音楽の本質や価値に対する考えの違いが表現された、ほっこりとした場面である。
