詩の世界は、僕の大学時代の一つの象徴だ。
古今東西の名著と呼ばれる文学…ゲーテやらドストエフスキーやら
あるいは夏目漱石やら太宰やら三島やら、
10代の頃に読みふけったロマンティックな世界にやがて飽き、
ノイエ・ザハリッヒカイト的なものを求めて
哲学や物理学、あるいは宗教学的なものばかり読んでいた。
詩はカビ臭い、自己満足的なもので、
読んで何があるわけでもない、と思っていた。
それを180度ひっくり返したのが、
このマンガのような体験である。
結論を言えば、やっぱり何があったわけでもないとは思う。
ただ、詩の中…とりわけ現代詩の中…には人間がいた。
その一つ一つの言葉の中に、
学問よりもずっと僕の心を穿つ、
人間がいた。
オズ先輩と黒髪の男性が古い喫茶店で煙草をくゆらせながら、一冊の詩集を繰り返し読んでいる。二人は詩を理解するのは簡単だと感じており、その詩の持つ深い意味を探ろうと静かな雰囲気の中で集中している。互いに無言で詩に向き合う彼らの姿からは、文学を通じた共感や静かな時間の流れが感じ取れる。
