頬杖をついてぼんやりしている 隣の席のマキタをよく覚えていて、 何枚も描いてきたのだけれど、
この姿勢は僕のレベルでは描くのが難しく、 一枚も満足する絵にならない。
ちゃんと写真素材や人体モデルをみて 描けば、すぐに正解の絵は描けると思うのだけれど、 それは僕が描きたい絵ではない。
そんなことを考えているうちに、 僕はやっぱり絵がうまくなりたくないんだと 改めて思った。
うまくなってしまったら 僕の記憶は上書きさえ、もう描くことはできない。
そんなのは思い込みだ、下手な人間の言い訳だよと、 色んな人や先生に嗤われてきたが、
でも僕は上手に絵を描いて称賛を浴びたいわけではないのだ。 僕の記憶にあるマキタと 同じ憂鬱を描き残したいだけなのだ。
マキタが机で頬杖をつき、憂鬱な表情で俯いている。彼女は「なぜか君の暗い顔ばかり覚えている」と過去を回想し、「君の顔を明るくできなかった」と後悔の念を抱く。さらに「僕自身のことが忘れられないだけなのかもしれない」と自問自答しており、切ない心情が描かれている。
