大きな大学でしたので、
学生食堂はレストラン街のようにたくさんありましたが、
僕が愛用していたのは、
校舎から離れた、老朽化はなはだしい
別館の食堂でした。
ただだだっぴろくて、
ほとんど学生はいませんでした。
おしゃれに着飾って、
キラキラした同級生たちが校舎へ歩いていくのを見ながら、
僕はいつまでもそこで腐っていました。
6年間も腐っていたと考えると、
長い長い夢を見ていた気持ちがします。
今も僕は、そんな食堂が好きです。
大学の学生食堂で、ハセガワとオズ先輩が向かい合っている。ハセガワは相手にどうして欲しいのか率直に尋ねるが、オズ先輩は心の中で『こうしてて欲しい』と願いながらも、それを口に出せずにいる。二人の微妙な距離感と感情のすれ違いが静かに描かれている。彼女の胸中にある切なさと自己表現の難しさが物語の中心だ。
