楽しいこともたくさんあったはずなのに、
描きたくなるのはいつも
一言でも口にすればそのまま終わってしまいそうで何も言えない、
あの感じばかり。
音楽をかけてごまかすことも出来ない、
ただ時計の秒針だけがチクチクと聞こえるあの感じ。
そうだこの時計は君と信楽で買ったものだったねと
そんなことも言えずに
朝日が差し込むまで僕たちはそこにじっとしている。
村木はベッドに横たわり、何かを考えるように遠くを見つめている。隣には黒縁メガネのハセガワが座り、タバコをくわえて静かな時間を共有している。部屋に降り注ぐ月光が二人を照らし、言葉にできない感情が静かに交差しているような切ない空気が漂っている。
