「美術室の机のかどに腰掛けていた。」
と思い出を言葉で書くのはたやすい。
でも自分の頭の中にだけある映像を
自分の手で絵に描くのはなんと難しいことかと思う。
頭の大きさや手足の長さは何百枚も描けば
次第に慣れて人間の形になっていくのだけれど、
あの時間、あの空気を描くには画力が圧倒的に足らない。
だからやめられないでいる。
そんな理由で続いている。
マキタが美術室の机の角に腰掛けている様子が描かれている。制服姿の彼女は背中をこちらに向け、静かで落ち着いた空気が漂う場面だ。絵を描く難しさや、その中で感じる時間や空気を捉えることの難しさが内面の独白として示されている。マキタの物静かな佇まいから、制作への真剣さと葛藤が伝わってくる。
