寝食を忘れるという言葉がある。
寝るのも食べるのも忘れて没頭するという意味だけれど、
僕が10、20代で寝食を忘れたのは
マキタや先輩を追っかけていたことだけ、
観察ではなく、人をじっと僕自身の目で見ていたことだけだ。
ただ描いている、
今のこの寝食の忘れ方を高校生あるいは大学生の頃に
勉強や趣味に発揮できていたら
世界は変わったかもしれない。
いや、きっと変わらないだろう。
僕に絵を描かせているのは
そのただ無為に人を追いかけ回した思い出だから。
マキタとオータニが和室で壁に筆を使い何か描く作業をしている。マキタは真剣な表情で勢いよく筆を動かし、オータニはそれを驚きながら見守っている。背景には整理された本棚と積まれた箱があり、二人の集中した様子と静かな緊張感が伝わってくる。
